首に巻き付いたコード、血痕、それでも…
彼女が亡くなったの何故なのか…。茨城県日立市の美容室で平成19年、女性ネイリストの阿部香織さん=当時(29)=が、首に電気コードが巻き付いた状態で死亡しているのが見つかってから2年以上が経過した。香織さんは、結婚を目前に控え「幸せの絶頂」にあったはずだった。遺体発見当初は、事件との見方が強かったが、茨城県警の捜査では、外部から何者かが現場に侵入した形跡はないという。自殺…。遺族は県警に「殺人の可能性がある」とする上申書を提出、あくまでも事件として真相解明を求めている。
阿部香織さん
(写真:産経新聞)
◆婚約者の無残な姿…「いまだに名前を呼んでしまう」
ちぎれたネックレス、乱れた布団、壁についた血、ベッドと壁のすき間に落ちていた結婚指輪…。
19年5月24日午後9時ごろ、香織さんの婚約者、鈴木文武さん(41)が、寝室をのぞくと、そこには普段とまったく違う光景が広がっていた。
この日は、鈴木さんが約6000万円の資金をかけて新装開店した美容院の開店初日。9日後には2人は入籍するはずだった。鈴木さんは、営業後に姿が見えなくなった香織さんを探していたところだった。
美容室は2階建て。建物1階が店舗で、ネイリストの香織さんが従事するはずだったネイルアートスペースも設置されていた。階段で2階に上がれば従業員の会議室、その奥に鈴木さんの母親の部屋、香織さんと鈴木さんの寝室、リビングなどがある。
鈴木さんが寝室の出窓に目をやると、そこには開いた窓から外に向かってコードが1本垂れ下がっていた。
「コードには、マッサージ器が接続されていたはずなんだけど…」
鈴木さんは香織さんと連絡を取ろうと携帯電話に電話しながら1階に下り、出窓の下付近に向かった。美容室の敷地内には誰もいない。大きな不安を抱えながら美容室の隣の敷地へ向かった。
午後9時20分ごろ。そこには、電気コードが首に巻ついた状態で倒れている香織さんの変わり果てた姿があった。
「上から落ちたんだ」。そう思った鈴木さんは香織さんを抱きかかえ、119番通報をし、心臓マッサージを繰り返した。首にコードが巻かれているのに気付き、無我夢中でそれも外した。しかし、香織さんの意識が戻ることはなかった。
あれから2年以上。鈴木さんは「いまだに名前を呼んでしまったり、隣に座っているように感じたりする」と話す。
◆「空白の2時間」…見えない犯人の影
香織さんが亡くなった日、いったい何が起きたのか。
鈴木さんによると、午後6時40分ごろ、客として来店しカットを終えた友人に、鈴木さんは「2階でコーヒーでも飲もう」と誘ったという。そのころ別の友人もやってきたため、鈴木さんは2人の友人を連れて2階のリビングに行き、香織さんも含め4人で談笑したという。鈴木さんは仕事のため午後7時ごろ店に戻り、友人2人はその10分後に1階へ降りて帰宅したという。
香織さんの元気な姿が確認されたのは、このときが最後だった。
午後7時50分から店内でスタッフミーティングが始まった。55分には業者が来店したため、鈴木さんは業者に店内を案内。スタッフミーティングは午後8時ごろに終了した。
異変が生じたのはこのころだという。
1階店舗にいた従業員数人が声をそろえて言う。「2階から『ドーン』と何かが落ちるような大きな物音がした」
しかし、この時点でこの音に敏感に反応した者はいなかった。鈴木さんはその後もスタッフや業者と談笑し、午後9時ごろ業者を送り出した。ここで香織さんの姿が見えないことに気がついたという。
鈴木さんが香織さんを探しにいくまでの2時間、2階で何が起きていたのか。
2階にいたのが分かっているのは、自室で寝ていた鈴木さんの母親と香織さんの2人だけ。この間、店の階段で上がった者は誰もいないという。出入り口がある1階店舗には常に複数の従業員がおり、不審者が入店した形跡もない。
また、店の外壁には1階から2階に続く非常用はしごがあったが、誰かが使った痕跡はみつからない。
司法解剖の結果、香織さんの死因は首を圧迫されたことによる窒息死と判明。県警は「香織さんの遺体は裸足で着衣に乱れはなく、目立った外傷もなかった」としている。
一方で、不審な点もある。鈴木さんによると、出窓の下の壁にはへこんだ穴があったという。ベッドと壁のすき間からは香織さんのものとみられる使い捨てタイプのコンタクトレンズも発見されている。
リビングには、肉を焼けばすぐに食事ができる状態まで夕飯の用意ができていた。「自殺する人間が、そんな行動をするはずがない」。鈴木さんは当時こう訴えていた。
◆室内の血痕、目のあざ…「絞殺され、落とされた」
「結局、この2年間、香織の死の真相について結論づけるものは全くなかったということです」
大勢の海水浴客でにぎわう茨城県日立市小木津町。海水浴場からほど近い場所で中華料理店を営む香織さんの父、喜一さん(59)は白いエプロンを腰にかけたまま、こうつぶやいた。
2年以上の月日。変わらず中華鍋を振るう日々を過ごしながら、喜一さんは、なぜこんなことになったのか、毎日考え続けているという。
香織さんが亡くなってから半年ほど経過した20年初頭、「解決しないまま時間が過ぎ、このままいったらどうなるだろう」と考えた喜一さんは弁護士に相談を持ちかけ、同年7月、県警日立署の刑事課を訪れて、真相究明を求める上申書を提出した。
上申書のポイントは(1)窒息死するほどの力で自分の首を絞めることはできるのか(2)寝室の壁には香織さんの血痕があり、コンタクトレンズやネックレスが床に散乱していたのをどう説明するか(3)遺体の右目に殴られたようなあざがあったのはなぜか−の3点。これらの疑問点を挙げ、結果として、喜一さんらが導き出した答えは「誰かと争った末に絞殺され、突き落とされた」というものだ。
「警察が『自殺の線』でみているというのは、(遺体発見から)2日後あたりから出ていた。(司法)解剖から戻ってきたぐらいでは『自分で巻いて落ちた』というような話も出ていた」と喜一さん。しかし「そこから何も進まない。2年間、まったく進んでいない」という。
◆「室内に入りようがない」…捜査本部も専従もなし
県警は香織さんの遺体発見当初から現在まで「事件と自殺の両面で捜査している」という姿勢を崩していない。しかし、事件なら本来設置されるはずの捜査本部はない。専従の捜査員さえ置いていない。
「当時、美容室の1階には鈴木さんやスタッフがいたが、誰も香織さんがいたとみられる2階に誰かが向かったのを見ていない。美容室裏についていたはしごも登った形跡がない。これでは、室内に人が入りようがない」。県警幹部はこう説明する。
遺体の首のコードは何重にも巻かれていた。「何者かに首を絞められ、苦しくなれば、コードと首の間に指を入れて楽になろうとするから、首にはその跡が残るはず。首を絞めている者に抵抗しようとすれば、つめの間に皮膚片や繊維片が挟まっていたりするはず。しかし、そういった跡がみられない」
さらにこうも漏らす。 「香織さんはメールや電話で友人らに日々の生活について悩み、相談をしていたようだ」
捜査は前に進んでいない。
鈴木さんはいう。
「警察に意見を求めても『捜査中』ということで何も教えてくれない。せめて(押収された)結婚指輪だけでも返してほしい。そして事件の最後まで調べ尽くしてほしい。新しい『何か』が分かればと願っている」
喜一さんは最近、「自殺なら自殺でもいいと思う」と話しながらも、「(警察は)何も判断していない。親としては、早く解決してもらいたい」と苦しい胸の内を吐露した。
(2009年8月2日 産経新聞【衝撃事件『未解決』の核心】)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090802-00000511-san-soci
美容室隣地に女性変死体/茨城、首にひものあと
茨城県日立市鹿島町の美容室「サムシングブルー」の隣地で24日夜、美容室2階に住むネイリスト阿部香織さん(29)が口などから血を流して死亡しているのが見つかった。首にはひもを巻き付けたようなあとがあった。
遺体のそばに電気コードが落ちていたことから、県警捜査1課は殺人事件の疑いがあるとみて捜査。近く遺体を司法解剖し死因の特定を急ぐ。
阿部さんは靴を履いておらず、現場に設置されている境界フェンスが大きくゆがんでいた。捜査1課は、阿部さんが2階から生前に落ちたか、死亡後に落とされた可能性もあるとみている。
調べでは、阿部さんは美容室経営の鈴木文武さん(39)と、鈴木さんの母親(68)との3人暮らし。鈴木さんとは来月結婚する予定だった。鈴木さんが24日午後9時20分ごろ、美容室と隣家との間の幅約1メートルの敷地にあおむけで倒れている阿部さんを見つけ119番した。
(2007/05/25 四国新聞)
http://www.shikoku-np.co.jp/national/social/article.aspx?id=20070525000199
日立市鹿島町の美容室と隣家の間の敷地で24日夜、同店ネイリストの女性(29)が遺体で見つかった事件で27日、同店関係者が会見を開き、女性が落ちたとみられる2階寝室などを公開した。寝室の出窓下の壁には何かがぶつかったような痕が、ベッド付近にも血痕があることが判明。また、24日午後7時半ごろ、2人の従業員が「2階から何かが倒れるような大きい音が聞こえた」と話していることも分かった。日立署などは自他殺両面で慎重に捜査しているが、外部から2階への侵入が困難なことなどから、自殺との見方を強めている。
(中略)
会見を開いた男性(57)は「男性とは約20年前からの付き合い。女性が自殺をするなんて考えられない。真相を明らかにしてほしい」と言葉を詰まらせた。
(2007年5月28日 産経新聞抜粋)
http://www.sankei.co.jp/chiho/ibaraki/070528/ibr070528000.htm

自殺とも他殺とも断定する強い決め手がない。
そうですか、あのときのままなんの進展もなしでしたか。
随分昔の事件のような気がしていましたが、まだ2年ですか。
なんだか不可解な事件でしたが、警察もまだ断定できないでいるんですね。
自殺が事故か、又は他殺か、
警察のいうことも一理あり、では現場状況はというと他殺説も捨てきれず。
だから「幸せの絶頂」ということにはならないでしょう。
逆に不安も大きいと思いますよ。
かといって自殺と断定するには、不審な点も多いですね。
二年間も宙ぶらりんでは、ご遺族もたまりませんね。
五右衛門さん
迷い猫さん
こんばんは。
この事件も以前取り上げ、自殺なのか他殺なのかと考えたこともありますが、その後まだ進展もなく警察も判断しかねているとは思ってもいませんでした。
警察の言う、外部からの侵入の痕跡もなく、また何者かにコードを首にまきつけられ絞められたとすれば、特に首周りに抵抗の痕跡が残るはずということで自殺説というのも一理あり。
一方で、部屋の様子や香織さんの状態から、他殺説も捨てきれず。
殺人としての事件性がなければ捜査本部が設置されることはありませんが、警察が2年を経ても判断しかねているというのは、やはり何か引っかかることがあるのでしょうね。
知りたいのは、事件現場の鑑識の結果なのですが、それは報道されないでしょうね。
また、仰るように、外見的に「幸せの絶頂」であっても不安も大きい出発点。
どちらにしても、
>「香織さんはメールや電話で友人らに日々の生活について悩み、相談をしていたようだ」
ということも気になります・・・・。
気持ちはわかりますが、公開されたブログで、憶測で名指しするのは問題がありますし控えたほうがいいですよ。
犯行があったと考えられる時は、記事によれば、彼と共にスタッフの方や業者の人が絶えずいたようですし、警察も当然行動確認はしているでしょう。
もちろん、報道された内容がすべてではないでしょうし、いまのところ真実は闇の中ですね。
なんとか真相を解明して欲しいと願っていますが。
コメントありがとうございます。
憶測での個人を特定した箇所は、管理人の判断により削除いたします。
自殺・他殺・事故、いずれも決め手のないままの状態。
ご遺族、知人友人の方々の心痛、お察しいたします。
>天馬さん
ありがとうございます。
犯人が元妻でもなく、母親でもなく、旦那でもない。
何かを隠してるとしたら、この子じゃないのかね?