2008年10月29日

畠山鈴香「秋田児童連続殺害事件」控訴審(3)

「秋田児童連続殺害事件」控訴審第3回公判
仙台高裁秋田支部

被告人質問

豪憲君殺害「動機も行動も思いだせない」

秋田県藤里町の連続児童殺害事件で殺人と死体遺棄の罪に問われ、1審で無期懲役の判決を受けた無職、畠山鈴香被告(35)の控訴審第3回公判が29日、仙台高裁秋田支部(竹花俊徳裁判長)で開かれた。裁判所による被告人質問が行われ、2軒隣の米山豪憲君=当時(7)=の殺害動機について鈴香被告は「どういう気持ちだったか思いだせない。気持ちだけではなく、(殺害時の)行動も思いだせない」と話した。

1審で鈴香被告は豪憲君の殺害動機を長女、彩香ちゃん=当時(9)=の水死について警察の再捜査を求めるため、としていた。しかし、前回公判の検察側による被告人質問では「どういう考えで事件を起こしたのかよく分からない」と述べるなど、1審の証言を後退させていた。

このため、竹花裁判長が検察側被告人質問終了後、鈴香被告に対し「(これまでの)豪憲君殺害動機は全部うそなのか」「次回公判までに、もう一度考えてほしい」と問いかけていた。

(以下略)

(2008.10.29 産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/081029/trl0810291138003-n1.htm

20080925-01

◆裁判長の苦言空振り「動機も行動も覚えていない」

(略)

この日の秋田市の予想最高気温は12度。入廷してきた鈴香被告は白のブラウスの上に白いセーターを着て、防寒対策を施している。

裁判長 「緊張しないで、落ち着いてね」

緊張の様子がみえる鈴香被告に、リラックスするよう求める竹花裁判長。そのまま竹花裁判長が質問を始めた。

裁判長 「前回公判の最後に、豪憲君を殺した動機についてもう一度考えてくるよう言いましたが、考えてきましたか?」
鈴香被告 「ほとんど毎日のように考えています」
裁判長 「豪憲君を殺したとき、どういう気持ちだったか思いだせましたか?」
鈴香被告 「思いだすことが…できませんでした」
裁判長 「当時の気持ちを思いだせないのですか?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「どういう気持ちで殺したのか、こうじゃないかと言えることは?」
鈴香被告 「ないですけど…気持ちだけじゃなく、行動も覚えていないところがあります」
裁判長 「なぜ覚えていないのですか?」
鈴香被告 「よく分からないことがあります」
裁判長 「そうですか。ふーん」

前回公判から2週間。「もう一度考えてほしい」と希望した竹花裁判長の願いもむなしく、動機のみならず、殺害の行動についても「覚えていないところがある」と言い出した鈴香被告。竹花裁判長はあきらめたのか、「ふーん」と言いながら、次の質問に移った。

裁判長 「お母さんについて聞きます。あなたにとって、お母さんはどういう人? あなたの言葉で表現すると?」
鈴香被告 「好きな人」
裁判長 「それが一番ですか?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「ほかには?」
鈴香被告 「…好きだけど、自分の気持ちすべてを伝えられるわけではない」
裁判長 「彩香ちゃんを育てる相談も?」
鈴香被告 「当時、何が悩みで、何が分からないのかも分かりませんでした」
裁判長 「でも、彩香ちゃんにどうやって接していいかわからない、などと友達にメールしてるよね。そういうのも話せないの?」
鈴香被告 「親だからこそ、自分の子供に対して汗のにおいが嫌とか、そういう気持ちを持っていることは知られたくありませんでした」

鈴香被告は彩香ちゃんの死後、自分がその死に関与しているにもかかわらず県警に事件として捜査するよう要求していた。これについて検察側は、物心両面で極度に依存していた母親が、溺愛(できあい)する彩香ちゃんの死に激しく動転、事件に巻き込まれて死亡したと騒ぎ立てたことに鈴香被告が同調せざるを得なくなったため、と主張している。そうしたことから、竹花裁判長は、母親との関係をもう一度確認したいようだ。

裁判長 「お母さんは君のこと、よく知らなかったんじゃないかと思ったんだけど?」
鈴香被告 「父よりは知っていたと思います」
裁判長 「小さいときから、お母さんに捨てられたら生きていけないと思ったことは?」
鈴香被告 「考えたことないです」

その後、竹花裁判長は、事件前の自殺未遂と、彩香ちゃんを置いて東京に出たいと思った時期の齟齬(そご)などについて質問していく。豪憲君殺害より前の話なのだが、鈴香被告はそれについては記憶が確からしく、雄弁に語っていく。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/081029/trl0810291537007-n1.htm

※ つづき ↓

◆「人の迷惑を顧みない人たち」マスコミ批判は雄弁に
鈴香被告に対し、「ふーん」や「あ、そう」といった言葉を挟みながら、フランクな口調で質問を続ける竹花裁判長。次に、豪憲君殺害の罪をなすりつけようとした人物について問い始めた。

裁判長 「元彼氏(公判では実名)について、警察に対し、恋人としてつきあっていたけど、(事件の)前の夏に(関係が)切れたと言っていたけど、なぜそんなことを?」
鈴香被告 「付き合ったり別れたりを何度も繰り返して、夏に向こうからそういうことを言ってきたので自分も『いいよ』とメールで話して…2、3週間後に元彼氏からもう一度やり直そうと…。そういうのの繰り返しで、母にも別れたと言ったし、自分としては気持ちがないということを考えて」
裁判長 「でも、自分の気持ちは切れていた訳じゃないでしょ?」
鈴香被告 「どちらかというと、友達の延長のような関係でした」

ここから、竹花裁判長は、核心に触れる。

裁判長 「警察に、豪憲君を殺したのは元彼氏じゃないか、と話していたけど、それは関係あるの?」
鈴香被告 「ないです」
裁判長 「そのあたり、説明してくれる?」
鈴香被告 「…」
裁判長 「説明できない?」
鈴香被告 「…」
裁判長 「当時(事件前)、元彼氏に悩みを打ち明けてたし、自殺未遂後は元彼氏が看病してくれるなど、心配してくれましたね。でも犯人にしようとした。そのあたりの心理は?」
鈴香被告 「…何も考えていなかったと思います」

1審では、鈴香被告が豪憲君殺害の罪を複数の人になすりつけようとしたことが検察側によって明らかにされている。が、そのうちの1人が元彼氏だったというのは、今回が初めて。
彩香ちゃんをかわいがってくれていたという元彼氏に、鈴香被告は「何も考えず」犯人に仕立て上げようとしていたことが、裁判所の質問で明らかになった。

さらに質問を続ける竹花裁判長。今度は、周囲に対する怨恨(えんこん)が事件につながったのではないかという疑念について問いかける。

裁判長 「米山豪憲君の家族に対し、事件の前にひっかかるところはあった?」
鈴香被告 「一つもありません」
裁判長 「それは間違いないといえる?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「彩香ちゃんの死後は?」
鈴香被告 「感謝の気持ちはありました」
裁判長 「恨みは?」
鈴香被告 「ありませんでした」
裁判長 「今だから言うのではなく?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「彩香ちゃんの同級生に関しては?」
鈴香被告 「なかったと思います」
裁判長 「ひっかかるものとか、恨みとかは?」
鈴香被告 「恨みっていうか、子供の姿や声を聞くのがつらかったです。彩香と同年代や下の子供たちをみると、彩香がこれくらいの年にはこうだったとか思いだして」
裁判長 「その子たちへの気持ちは? 元気だから嫌だとか?」
鈴香被告 「ありませんでした」
裁判長 「間違いなく言える?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「近所の住民への恨みは?」
鈴香被告 「いいえ」
裁判長 「彩香ちゃん事件後も?」
鈴香被告 「いいえ」

次々に怨恨の感情について問い合わせる竹花裁判長に対し、恨みはなかったと答える鈴香被告。しかし、一つだけ強い恨みをはき出す場面が。

裁判長 「マスコミに対しては?」
鈴香被告 「豪憲君事件までは接触なかったし、特に恨みとか、嫌な人たちとは思っていませんでした」
裁判長 「その後は?」
鈴香被告 「かなり持つようになりました」
裁判長 「具体的には?」
鈴香被告 「人の迷惑を顧みないし、言葉をそのままでなくねじ曲げて伝える人たち。それから、うわさとか、そういうのを自分たちの言葉ではないという形で流す人たち。マスコミに関しては数え切れないほど」

ひとしきりマスコミ批判をした鈴香被告。竹花裁判長は、1審で鈴香被告が豪憲君殺害事件直前に計画していた誘拐事件を、なぜ自ら口にしたのかについて説明を求め始める。

裁判長 「あなたは誘拐事件を起こそうとしたけど、実行には至らなかったと言ってます。なぜその話を話す気になったのですか? わざわざ言わなければ分からなかった話だけど、なぜいうようになったのですか?」
鈴香被告 「そのとき、自分で迷ったんですけど、正直に言ったつもりです」
裁判長 「話した方が自分のことを分かってもらえると思ったように感じるけど。こういうことを分かってほしい、こういうことを話したかった、ということがあれば分かるんだけど?」
鈴香被告 「…」
裁判長 「自分を理解してもらいたいというような感じがしたんだけど?」
鈴香被告 「どういう気持ちをしていたかは覚えていません」
裁判長 「誘拐計画は事実なのですか?」
鈴香被告 「(豪憲事件前日の5月)16日は本当です。(事件当日の)17日は(誘拐に)行ったか行かないかはちょっと記憶がないです」

誘拐計画については前回公判で検察側も鈴香被告に問いただしている。誰も知らない話を捜査段階で自ら語り、1審の弁護側による質問でもしっかりと認めていた鈴香被告。控訴審ではそんな話まで「17日の記憶はない」と証言を後退させたことに関し、竹花裁判長は疑念を抱いたようだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/081029/trl0810291548008-n1.htm

◆「静かに暮らしたかった。それだけ」
裁判長は豪憲君殺害動機を何とか聞き出そうと、手を替え品を替えて質問を続ける。再び話は母親へ。彩香ちゃんの死に鈴香被告が関与していることを母親に知られたくないため、豪憲君事件を起こしたのではないかとの疑問を呈す。

裁判長 「彩香ちゃんの遺体発見時、(鈴香被告の)母親が半狂乱になって悲しんだと。その時、『こんなに悲しむんだ』とびっくりした?」
鈴香被告 「…。そういうことは考えなかったです。自分の気持ちで精いっぱいで。周りがどう思っているのかまでは…」
裁判長 「豪憲君を殺害しようとしたときに、米山さんの家族が(鈴香被告の母親のように)悲しむとは考えなかったの?」
鈴香被告 「考えてたらこんなことになってません」
裁判長 「警察に捕まるまでの間も?」
鈴香被告 「いつもではないけど時折、考えました。毎晩、母と彩香の祭壇の前で手を合わせるとき、『豪憲君、ごめんね』って」
裁判長 「豪憲君を殺害して気持ちがスッキリしたとか?」
鈴香被告 「一つもないです」
裁判長 「ふーん。彩香ちゃんが亡くなった後、母親は嘆き悲しんだ。彩香ちゃんの死にあなたが関係していることを知られたくなかったのでは?」
鈴香被告 「当時、自分が事件、事故にかかわっているという意識はなかったので(そういう考えは)浮かばなかったです」

なおも裁判長は食い下がる。だが、鈴香被告は答える前に必ず一呼吸を置きながら、のらりくらりと小さな声で答え続けた。

裁判長 「(捜査段階で)『彩香の件を話せるようにならないと、豪憲君のことも言えません』と言ってない?」
鈴香被告 「言ってないです」
裁判長 「じゃあ、どう言ったの?」
鈴香被告 「刑事さんに『豪憲君を成仏させるには彩香ちゃんのことをはっきりさせないと2人とも成仏できない』と説得されました」
裁判長 「彩香ちゃんの事件を話すとき、あなた『母親が心配だ』と。警察が母親に『気を強く』と確認し、それで彩香ちゃんのことを話したのでは?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「あなたが彩香ちゃんのことを話すと、母親がショックを受けると心配したの?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「やっぱり母親に知られたくなかったのではないの?」
鈴香被告 「(知られたくない気持ちは)あったと思う」
裁判長 「(少し驚いた感じで)あるの? うーん…。どうして?」
鈴香被告 「彩香の遺体が見つかったとき、母がまるで狂ったかのようで。もし私がかかわっているとしたら母は生きてられないと思いました」
裁判長 「あっそう。そんなあなたの気持ちとその後の行動(ビラ配りや警察への再捜査を求めるなどの行為)を見れば、あなたの関与がばれるのを防ぎたい。それで豪憲君を殺したとか…」
鈴香被告 「ないです」
裁判長 「米山さんに恨みもないし、豪憲君事件の動機がなくなる。別の犯人と思わせるため、豪憲君を殺したのかなって思ってさ」
鈴香被告 「…。彩香のことに当時は自分がかかわっているとか、警察が自分を疑っているとは思わなかったのでそれだけはないです」

裁判長の疑問は少しも解決することなく、少々あきれ気味に最後に同じ質問を繰り返した。

裁判長 「じゃあ、なんで豪憲君を殺したの?」

鈴香被告。30秒以上の沈黙。うなだれつつ時折、首をかしげながらボソッと答えた。

鈴香被告 「…分かりません」
裁判長 「はい!」

前回公判で「次回までによく考えて」と諭した裁判長。「もうけっこうだ」とでも言いたいように間髪入れず自らの質問を打ち切った。別の裁判官による質問へ。鈴香被告の生い立ちやマスコミ、鑑定医への不信感を質問後、1審における鈴香被告の人格に対する証言について問う。

裁判官 「(1審で)周囲の人々があなたは『こういう性格』と指摘しているが異議の部分はある?」
鈴香被告 「『凶暴的』、『母子心中しようとしたのでは』とか『豪憲君を彩香ちゃんの友人として一緒に(天国で)遊ばせたい』という考え方。○○(精神鑑定医の名前)医師の『記憶がなくても、いつでも(記憶を)取り出せる状態』というのは違います」
裁判官 「その他に(鈴香被告の)母親や弟など周囲の人たちの指摘では?」
鈴香被告 「母や弟が(1審で)言ったことは覚えていない」

裁判官の質問が終了し、弁護側が豪憲君殺害動機について記憶の欠落を改めて確認すると、再び裁判長が口をはさんだ。

鈴香被告はあらかじめ用意した台本を読み上げるように、記憶があいまいなってきたのは1審終盤からと説明する。

裁判長 「1審は記憶通りに話したの?」
鈴香被告 「はい」
裁判長 「控訴審で記憶が変わったと?」
鈴香被告 「(記憶が)なくなってきている」
裁判長 「捜査段階では記憶通りに話した?」
鈴香被告 「そうです」
裁判長 「控訴審ではなぜ記憶がないの?」
鈴香被告 「正直言って、彩香のことは1審の最中から霞がかってきて」
裁判長 「…ほう」
鈴香被告 「それがスピード化して、判決では覚えていないです。豪憲君のことも判決のころから、1本のビデオテープをブツブツ切ったような感じになり…。それ(記憶)を取り戻したい」
裁判長 「ほうほう」
鈴香被告 「なぜ記憶がそうなったのか分からない」
裁判長 「うーん」

最後に検察側の質問に移る。検察官も記憶が欠落した理由を聞くが、『分からない』を繰り返し続ける鈴香被告。生い立ちと事件の関係を問われると…。

検察側 「父親から殴られたり、学校でいじめられたり。それと今回の事件は関係あるのか?」
鈴香被告 「…私には分かりません。私は静かに暮らしたかった! それだけです」

検察官、1審判決に質問を移す。逮捕後、自分がどのような刑に該当するのか聞きたがっていたという鈴香被告。「無期懲役」をどう受け止めたのか。

検察側 「(捜査段階で弁護士や検察官に量刑を聞いたのは)自分の刑が気になったからか?」
鈴香被告 「そうです」
検察側 「弁護士は何と答えた?」
鈴香被告 「『前例がないから分からない』と」
検察側 「(1審で)死刑を求刑されたときどう思った?」
鈴香被告 「当然と思いました」
検察側 「では無期判決を聞いてどう思った?」
鈴香被告 「少し…驚きました」
検察側 「死刑も想定していたのか?」
鈴香被告 「はい」
検察側 「控訴審での死刑求刑については?」
鈴香被告 「米山さんがそれ(死刑)を願っているのは分かっています」
検察側 「極刑を回避したいという気持ちはある?」
鈴香被告 「今日、控訴審が始まって今まで3回目になりますが、その間、自分がどういう処罰になるのか考えたことはほとんどないです。その時、その時、頭にあることを正直に述べることだけを目標にしてきました」
検察側 「極刑回避のため『忘れた』と言っているのではないのか?」
鈴香被告 「(そうでは)ないです」

午前11時35分、被告人質問が終了し、裁判長が休廷を告げる。豪憲君の母、真智子さんは豪憲君の遺影を胸に、目を赤くしながら鈴香被告のむなしい言葉を耐えるような表情で聞き続けていた。午後は豪憲君の父、勝弘さんの証人尋問に入る。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/081029/trl0810291552009-n1.htm

◆「都合の悪いことだけ忘れたふり」憤る豪憲君の父
午後1時15分、鈴香被告は法廷に戻ってきた。被告人質問を終え、心なしか落ち着きが戻ったように見える。午後は米山豪憲君=当時(7)=の父、勝弘さんに対する証人尋問が予定されている。竹花裁判長が、傍聴席にいた勝弘さんを法廷へ呼び寄せた。

勝弘さんは黒いスーツ姿。右手の鈴香被告を見据えながら、証言台の前に立ち、宣誓書を読み上げる。勝弘さんが席に座ると、鈴香被告は勝弘さんに向かって深く一礼した。

検察官の1人が立ち上がり、質問を始める。

検察官 「豪憲君が亡くなったのは平成18年5月17日でしたね。それから1カ月後、被告人が犯人と分かった。今日の時点で2年半がたちますが、そのときの気持ちと今の気持ちに変わりはありますか?」
証人 「ありません」
検察官 「できるできないにかかわらず、希望が1つかなうのなら、何を望みますか?」
証人 「もう一度、豪憲に会いたい。それだけです」

声を震わせる勝弘さん。

検察官 「豪憲君は無邪気でかわいい子でした。どういうときにそういったことを感じましたか?」
証人 「豪憲は無邪気で、いつも笑顔をしていたという記憶があります」
検察官 「同じ年齢の子を見ると、どんな思いがこみ上げてきますか?」
証人 「毎日思うのですが、豪憲が生きていたら、今ごろどんな子になっていただろうと…その姿が見たかったです」

堪えきれなくなったのか、傍聴席からは、胸に豪憲君の遺影を掲げながら聞き入る母、真智子さんのすすり泣く声が聞こえる。

検察官 「よく一緒にお風呂に入ったということですが、どんなことを思ってましたか?」
証人 「兄弟一緒に入っていたのですが、豪憲は細く、弱々しいという感じの子供でした。その細く弱々しい首を、被告がひもで、目いっぱい締め上げたということを思うと…気がおかしくなりそうです」

声を絞り出す勝弘さん。

検察官 「初公判からこれまですべての公判を傍聴してきましたね?」
証人 「はい」
検察官 「豪憲君殺害の具体的な方法も状況も分かってますよね?」
証人 「はい」
検察官 「どう思いましたか?」
証人 「執拗(しつよう)に首を絞められ、どれほど苦しんだか、その無念は察するにあまりあります」
検察官 「豪憲君は相当な時間締め上げられ、命を失っていますが、被告が少しでも思いとどまれば、死ぬことはなかった?」
証人 「一瞬の出来事ではなく、そうとう長い時間絞めていました。やめられたはずなのに…確信犯であり、許すことはできません」

検察側は、さらに幼少時の体験で情状を得ようとする弁護側の姿勢についても言及する。

検察官 「被告は父親から理不尽な扱いを受けたり、いじめられたと言っていますが?」
証人 「30歳過ぎた成人がことさら同情を買うようなことを言っているが、生い立ちに何の関係があるのか。1審の判決では斟酌されているが、理解できません」

そして、控訴審での鈴香被告の発言に憤る勝弘さん。

検察官 「(控訴審で)鈴香被告は豪憲君の殺害場面を覚えていない、動機も覚えていない、と言っているが?」
証人 「自分に対し、都合の悪いことだけを、ことさら忘れたという風に言っているが、普通、どう考えても理解できません」
検察官 「反省は見られますか?」
証人 「2年半近く経過したので記憶が薄くなったというが、では、この2年半何を考え、何を償おうとしたのか理解できない」

勝弘さんの鈴香被告に対する強い怒りは、次々と言葉になって現れてきた。

証人 「豪憲を殺したことは、取り返しのつかないことであり、許されないことだと思う」
「被告に更生の機会が与えられる世の中であるならば、世の中に絶望するし、信じられない」

最後に、検察側は、改めて裁判所に何を求めるか勝弘さんに問うた。

検察官 「当然、死刑を求めますか?」
証人 「私たちは、当然、命を持って償うべきだと思います」

力を込めて、こう話した勝弘さんは、鈴香被告に一度も目をくれることなく、証言台を後にした。

その後、特に補充質問もなく、公判は終了。
次回第4回公判は、12月17日午前10時から。証拠調べなどが行われる予定という。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/081029/trl0810291600010-n1.htm
(2008.10.29 産経ニュース)

20080925-11  20080925-12
畠山彩香ちゃん     米山豪憲くん

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shadow9 | COM(2) | T B(0) | ・裁判
※この記事へのコメント

鈴香被告もいろいろつっこまれると困るから
忘れたことにしてるのかもしれないが、
これでは心象悪いでしょう。

控訴審は四つに組みあった攻防に欠けて
ダレたように感じがするのは私だけか?w




Posted by 天馬 at 2008.10.29. 21:00
天馬さん、こんばんは。

裁判長も少々苛立っていますかな(笑)
犯罪者心理としては当然、自身の犯行は思い出したくない、考えたくないというところはあるでしょうし、法廷戦術もあるのでしょう。
「覚えていない」のではなく「触れたくない」ということにもなりますが、それは公判の中では通らない。
我々も一審の公判をベースにしていますので、
控訴審の経緯を重ねていきますと、被告人質問の内容的には後退していますが、鈴香被告の心の動性が見えてきますね。
次回は、証拠調べということですので、注視しましょう。

Posted by shadow9 at 2008.10.30. 01:09
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